円形脱毛症の原因とは?治療期間や効果的な治療法も解説

円形脱毛症の原因とは?治療期間や効果的な治療法も解説

この記事でご紹介すること

円形脱毛症は、症状が進行すると、1カ所だけではなく数カ所に増え、拡大し、時間が経つにつれて自力で治療することが難しくなってくる疾患です。

そうならないために、円形脱毛症を発見したときやその疑いがあるときには、すぐに対策を始め、症状の進行を遅らせることが大切になってきます。

この記事では、円形脱毛症の種類や原因、その対策方法などについて、解説します。

そもそも、円形脱毛症とは?

円形脱毛症は、ときに「10円ハゲ」「500円ハゲ」と呼ばれるように、頭に現れることが多い、体毛が突然抜け落ちる疾患です。頭以外では、顔の毛髪(まゆ毛・まつ毛・ひげ)、手足や陰部にも発生し、脱毛が複数カ所に見られる「多発性脱毛症」、生え際中心に発生する「蛇行状脱毛症(ophiasis型)」、頭髪全てがなくなってしまう「全頭型脱毛症」、全身に病変が及ぶ「全身性(汎発性)脱毛症」に進行することもあります。

女性の円形脱毛症

脱毛症は男性に起こるイメージがあるかもしれませんが、女性にも「びまん性脱毛症」と呼ばれる疾患が発症することがあります。この疾患は、髪の毛が全体的に薄くなる症状のことで「FAGA」(エフエージーエー)とも呼ばれ、多くの女性を悩ませています。

FAGAは、いわゆる男性型脱毛症と同じように、男性ホルモンが原因となって起こります。具体的には、男性ホルモンのテストステロンが変化してできるジヒドロテストステロンという物質が髪の毛の成長サイクルに影響を与えることで、薄毛や抜け毛が生じるメカニズムです。

加齢による女性ホルモンの減少もFAGAの原因の一つです。女性ホルモンが減少すると男性ホルモンが優位になり、結果としてFAGAのきっかけになってしまいます。また、過度のダイエットやストレスによりホルモンバランスが崩れるのも、FAGAの原因となります。

女性の場合、出産などをきっかけに円形脱毛症を含んだ脱毛症を発症することがあります。この脱毛症は、「産後脱毛症」と呼ばれ、ホルモンバランスの乱れや子育てに伴うストレスや睡眠不足が関係しているといわれています。

子どもの円形脱毛症

子どもも、円形脱毛症は起こります。その原因はストレスといわれることがありますが、それだけではありません。

例えば、1歳の子どもでも円形脱毛症になることがありますが、摩擦で起こる一時的な円形脱毛症だったというケースがあります。

もしも、お子様の頭皮に異常が見られたら、すみやかに医療機関で医師の診察を受けるとともに、その原因を探っていきましょう。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因には、主にどのようなものがあるのでしょうか? 実は、長年にわたり研究が行われているものの、明確な原因がわかっていないのが現状です。ただし、有力な説として挙げられているものも、いくつかあります。

円形脱毛症として考えられる原因(大人)

遺伝子異常

その名の通り、遺伝子が何らかの異常をきたして円形脱毛症を引き起こすと考えられるものです。

自己免疫疾患

細菌やウイルスといった外敵から自分の身体を守るために、細胞が誤って自分の健全な細胞を攻撃することが円形脱毛症のきっかけだといわれています。

栄養障害

バランスの悪い食事、過度なダイエット、ビタミンやミネラルの不足により免疫力が下がった結果、栄養状態が悪化してしまい、身体や頭皮に十分な栄養が行き届かず、円形脱毛症を発症しやすくしたり症状を悪化させてしまうことがあります。

ストレス

①精神的ストレス

ストレスが過度になると血液が粘度を帯び、血流が滞ります。また、交感神経が顕著に働くようになります。すると、末梢部や内臓に血流が届きにくくなり、血行不良とともに栄養吸収不良も併発して円形脱毛症が発症する、というわけです。

②肉体的ストレス

慢性的な疲れ、慢性的な肉体疲労、感冒(風邪)、インフルエンザ、感染症、暑さ・寒さなどが外的刺激として円形脱毛症の引き金になることもあるようです。

円形脱毛症はストレスが原因とよくいわれますが、医学的な根拠はまだありません。自分で断定しないように注意しましょう。

老化

年を取るにつれ、人間の身体の免疫力は下がっていきます。免疫力が弱まると、病気にかかりやすい“条件”をつくってしまいます。

これは、円形脱毛症にも当てはまると考えられます。高齢者の場合、老化が進行すると体毛が薄くなっていくため、症状が見逃されてしまうことがあり、対応が遅れてしまうケースもあるようです。

数は少ないものの、円形脱毛症になる人の中には甲状腺の病気や膠原病などの免疫疾患を同時に発症していることが多いようです。疲れやすい、微熱があるなどの症状がある場合は、病院で診てもらいましょう。

子どもの円形脱毛症として考えられる原因

子どもの円形脱毛症の原因としては、下記のようなものが考えられます。

頭皮湿疹

アレルギー体質の子どもは円形脱毛症にかかりやすいといわれています。さらに、円形脱毛症になる子どもの約4割がアトピー体質という説があります。その背景として、頭皮にできたアトピーをかきすぎてしまうとその部分の髪の毛が抜けて円形脱毛症につながってしまうことが挙げられます。

白癬(別称、「しらくも」)

白癬とは、髪の毛に白癬(はくせん)菌というカビの一種が感染して発症する皮膚の疾患で、大人でも子どもでもかかります。

症状として頭皮の腫れ、かゆみ、白い斑点、大量のフケが出て、髪の毛が一気にたくさん抜けることもあります。犬や猫などのペットから感染することもあるようです。

遺伝子異常

大人と同様です。

自己免疫疾患

大人と同様ですが、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状のある子どもに円形脱毛症が多いことも根拠の一つになっています。

栄養障害

これも大人と同じですが、子どもの場合、好き嫌いが多いと栄養のバランスが不十分になってしまう恐れがあります。食事できちんと栄養素が取れているか、日頃からチェックしましょう。

ストレス

同じストレスでも、大人と子どもとでは、少し事情が異なります。

①精神的ストレス

入園や入学、転校などで環境が変わり、友達や家族との関係がうまくいかないなど、子どもならではの精神的なストレスが溜まってしまうと、これがきっかけとなり、円形脱毛症になる場合があります。

②肉体的ストレス

入院、手術後、風邪で高熱を出した後など、身体的なストレスが大きかった場合のストレスで円形脱毛症になる子どももいるようです。これは子ども特有の症状で、大人に比べると子どもの体力があまりないことが原因であると考えられています。

円形脱毛症の治療法

保険診療による円形脱毛症治療法とその特徴

円形脱毛症の治療には、保険が適用されるものと適用されないものがあります。
まずは、保険が適用されて受けられる治療にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。

ステロイド局所注射

円形脱毛症が始まったばかりで小さい範囲でしか脱毛をしていない場合は、ステロイドなどの外用療法で様子を見ます。そして、狭い範囲で経過が長引く場合、ステロイドを局所注射します。

この注射のリスクとして、注射した箇所に凹凸ができ、注射部分に毛が再生しにくい副作用が挙げられます。

内服薬

ステロイド内服

円形脱毛症を発症後、半年以内で脱毛範囲が急速に拡大している場合に有効です。具体的には、頭部全体の25%以上が脱毛している人に処方されます。
糖尿病、肥満、月経不順、骨粗しょう症などの副作用のリスク、再発のリスクがあります。

抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン剤)

花粉症などのアレルギー症状を緩和する治療薬ですが、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支炎のいずれかに該当する人に脱毛範囲が縮小する効果が見られています。

セファランチン

脱毛が急速に進行している中等症以上の成人に効果があるといわれており、アレルギー反応を抑制する作用や、血流を促進する作用があります。

グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合剤

科学的な検証は不十分ですが、炎症やアレルギーを抑える作用があると効果が見られており、単発型、多発型の脱毛症治療で使用されています。

漢方薬

直接的な治療ではありませんが、対処療法としての効果は見込めます。効く人の場合、漢方のみの投与でも良くなったという報告例もあるようです。

精神安定剤

GABA・セロトニン不足による精神不安定が疑われる場合のみ、用います。

外用薬

ステロイド外用

年齢が若く、出現から治療までの期間が1年以内と短ければ、効果的です。

塩化カルプロニウム外用

血流改善作用で育毛を促進します。保険処方が可能で安価ですが、効果についてはさまざまで、統計上、効果があるという十分な根拠はありません。

ミノキシジル外用

発毛効果や血管を拡張する効果があります。脱毛の範囲を縮小する根拠がはっきりとしていないため日本での実績はまだ少ないですが、海外での診療実績は多いようです。

冷却(凍結)/液体窒素治療

液体窒素を綿球につけ、脱毛箇所に押し当てる、簡素な治療ですが(1~2週間に1度行います)、施術時に軽い痛みを伴います。

光線(紫外線)療法

紫外線治療機器を用いることで単波長の紫外線を照射し、円形脱毛症をはじめとした難治性の皮膚疾患に適用されます。これまでの光線治療に比べ治療効果が比較的すぐ出る、かゆみがおさまるのが早いなど、他の光線治療では得られない効果が期待できる、最新の紫外線療法です。

自由診療による円形脱毛症治療法とその特徴

局所免疫療法(SADBE・PCPC)

国内のみならず世界中で使用されており、脱毛部に人工的にかぶれを起こさせ、免疫の状態に変化を与える治療法です。発毛する確率は約7割といわれています。発毛する確率は高いものの、脱毛の再発を繰り返すこと、効果が出るまで最低数カ月を要することはデメリットです。

HARG療法

円形脱毛症に効果がある成長因子カクテルと呼ばれる発毛のための成分をHARGに配合し、毛乳頭や毛包に失われた成長の成分を与えることで再生を促進させる、最新の毛髪再生治療法です。

HARG療法の詳細についてはこちらをご覧ください。

直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)

生体深達度の高い波長帯を使用して照射する、治療法です。レーザーに似た特性が効率的に照射部の血行を促進し、アレルギーや比較的軽い円形脱毛症に効果があるとされています。

円形脱毛症の種類

円形脱毛症は、脱毛部位の数や大きさなどから「単発型」「多発型」「蛇行型」「急速進行型」に分けられます。

単発型

円形の脱毛部位が1つの場合、「単発型」といい「通常型円形脱毛症」に分類されます。

多発型

円形の脱毛部位が複数現れる場合があります。これを「多発型円形脱毛症」と呼びます(単発型と同じ通常型円形脱毛症に分類されます)。

基本的に、毛が脱毛する以外の症状は現れませんが、一部の人では脱毛前に軽いかゆみなどを感じることがあります。また、頭部全体の25%以上が脱毛している場合、重症と考えられることが多いです。

特徴として、一部が治ったとしても他の部位が脱毛したり、再び同じ場所が脱毛してしまったりすることもあります。さらに、2つの多発性円形脱毛症が1つに合体し、大きな脱毛症になってしまうこともあるようです。

普通の円形脱毛症なのか、多発性円形脱毛症なのかを素人が判断することは難しいのですが、多発性円形脱毛症は複数の円形脱毛症が同時進行で発症してしまうので、できるだけ早期治療を始めることが重要だといわれています。

蛇行(ophiasis)型

側頭部や後頭部、特に髪の生え際に沿って髪の毛が帯状に抜けていく脱毛症のことです。抜け毛の跡が蛇の通った道のように見えることから「蛇行型」と名付けられました。

円形脱毛症の一種として考えられており、10円ハゲが頭部にできる単発型が悪化して移行するケースもあります。

単発型と異なり、自然治癒はまず見込めません。そして、治療に数年かかるといわれています。

大人よりも子どもに多く見られる蛇行型は、悪化すると毛髪が全て抜け落ちることにもつながりかねず、性別・年齢関係なく、誰にでも発症する可能性がある脱毛症です。

急速進行型

急速進行型は、急激に全頭の毛髪あるいは全身の毛が抜けてしまうタイプのことをいいます。

このタイプは全て毛が抜けてしまった後、しばらくすると、自然に発毛して治癒することが多いのですが、全ての毛が抜けてしまうので、患者様の精神的ショックは大きいです。そのため、少しでも抜け毛を減らすためにステロイドの内服を行う治療法を選択することも多くあります。

それぞれの円形脱毛症に適した治療法と治療期間

円形脱毛症のそれぞれの症状に合った治療法や治療期間を記載しました。ご参考ください。

それぞれの円形脱毛症に適した治療法、治療期間

単発型・少数多発型

・単発型・少数多発型の治療法

抗ヒスタミン薬内服(推奨度C1)、ステロイド外用(推奨度C1)、育毛剤外用(推奨度C1)

・単発型・少数多発型の治療期間 

1年以内

単発大型・多発型 (脱毛斑が全頭の25%未満)

・単発大型・多発型の治療法

ステロイドの注射(推奨度B)・外用(推奨度C1)、育毛剤外用(推奨度C1)

・単発大型・多発型の治療期間 

6ヶ月~2年以内

多発型(脱毛斑が全頭の25%以上)

・多発型の治療法

局所免疫療法(DPCP,SADBE) (推奨度B)、一部にステロイド注射を併用

・多発型の治療期間 

長期になる傾向が高い。治療をやめると再発することも多い

ophiasis(蛇行)型

難治です。

・ophiasis(蛇行)型の治療法 

局所免疫療法、ステロイドの外用・注射、補助療法などを組み合わせるなどして治療を試みます。 補助療法:液体窒素療法、PUVA療法、エキシマライト療法、レーザー療法など

・ophiasis(蛇行)型の治療期間

長期になる傾向が高い。

全頭型・汎発型とは

難治です。

・全頭型・汎発型の治療法

局所免疫療法、ステロイドの外用・注射、補助療法などを組み合わせるなどして治療を試みます。 補助療法:液体窒素療法、PUVA療法、エキシマライト療法、レーザー療法など

・全頭型・汎発型の治療期間

長期になる傾向が高い。治療をやめると再発することも多い

急速進行型

・急速進行型の治療法

ステロイドの内服・外用、慢性期には局所免疫療法を実施します。無治療でも比較的予後がよいのが特徴です。

・急速進行型の治療期間

症状により長期になることもある

円形脱毛症は早く症状を見つけたとしても、半年以上の継続的な治療が必要になります。同時に再発しやすい疾患でもあるので、円形脱毛症が改善したからといって自己判断で治療を止めるのは時期尚早といえるでしょう。
医師が治療完了を告げるまで根気よく治療を続けることが必要です。

円形脱毛症を早く治すための3つのポイント

円形脱毛症は、発症してからなるべく早く治療することが大切です。最後に、円形脱毛症を早く治すためのポイントについて、あらためてご紹介します。

①早期に円形脱毛症治療を行っているクリニックで治療する

症状が軽いほど、短期間での治療が見込めますが、進行すればするほど治療の難易度も上がり、治療期間が長くなります。

また、完治するまで時間がかかってしまったり、改善が見込めなかったりすると、そのことによる不安やストレスも増え、悪循環を引き起こす可能性もあります。そのため、初期症状のタイミングでも診療してくれるクリニックを探しておくことが、万が一のリスク管理、ともいえるでしょう。

②完治するまで継続して治療を受ける

症状の度合いによって治療期間は異なりますが、円形脱毛症の場合は、半年から数年かけて通院する必要があります。改善が見込めず諦めてしまう人も少なくありませんが、根気強く治療を続けていくことが重要です。

加えて、円形脱毛症は再発の可能性が高い疾患のため、完治したと思って早期に治療を終えてしまうと再発リスクが高まります。従って、担当の医師とよく話し合いながら治療を進めていくことが大切です。

③生活習慣を整える

せっかく脱毛治療を行っていても、睡眠不足や仕事によるストレスや過労で不規則な生活を続けていると、治療効果を半減させてしまう可能性があります。規則正しく、栄養バランスのとれた食事や生活を心がけるようにしましょう。

以上の3点を守れば、円形脱毛症を早期に治せる可能性が高まります。

まとめ|早期発見を目指し、適切なケアを心がける

円形脱毛症は、早期に発見し、適切なケアをすれば治癒する疾患です。

現在、円形脱毛症とは関わりがなかったとしても、「自分には関係ないだろう」と思っていてはいけません。

発症の原因は複数ありますが、人種、性別、年齢などで発症原因や発症率に違いは見られないため、「円形脱毛症は、いつ、誰が発症してもおかしくない病気である」ということを肝に銘じておきましょう。自分の免疫が円形脱毛症を引き起こす可能性があるかどうかはほとんど自分で気づくことができないため、まだ発症していない人も注意が必要です。

そして、少しでも頭皮や頭髪に違和感があったら、すぐにセルフケアを行うか、信頼できる専門クリニックに相談に行くようにしましょう。

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